一般社団法人エビデンス共創機構

保育の質向上支援事業を開始しました

2025年02月03日 ニュース

この度、当機構は保育所や幼稚園を対象とした保育の質向上支援事業を開始しました。

待機児童問題が解消され、多くのお子さんが保育所などに通園するようになった一方で、不適切な施設運営など保育の質の問題が注目を集めています。保育施設における保育環境は、子どもの健全な発達を支える基盤として極めて重要です。本事業は、こうした保育環境の重要性を踏まえ、専門家が保育の質を客観的に評価し、改善策をフィードバックすることで、より良い保育環境の整備に貢献するものです。

本事業では、国際的に広く活用されている「保育環境評価スケール」(注1)を用い、専門的なトレーニングを受けた評価者により観察調査を行います。そして、提供されている保育サービスの質を数値化し、各施設の良いところや課題を明らかにしたうえで、保育者および運営者に対し具体的な改善策をフィードバックし、質の向上を支援します。その他、施設の保育者が保育の専門家と共に調査を実施し、結果を振り返る自園研修も承ります。

本事業の運営には当機構理事の中室牧子慶應義塾大学教授が参画し、当機構アドバイザリーフェローの藤澤啓子慶應義塾大学教授に調査の実査およびフィードバックの実施をご担当いただきます。両教授は、これまで複数の自治体の保育施設で「保育環境評価スケール」を活用した調査およびフィードバックを行った実績があり、保育の質と子どもの発達や小学校入学後の学力の関係に関する実証研究や、保育の質を高めるためのプログラムの開発およびその効果検証を実施されています(注2)。

本事業はこのようなエビデンスを踏まえ、研究から実践へと踏み出すもので、本事業を通じ保育環境が整備され、すべてのお子さんが最善の保育サービスを受けられる環境を構築することを目指してまいります。

中室牧子先生のコメント
保育の質を高めるために、「保育環境評価スケール」について知りたいとお考えの施設や施設経営者の皆様にはぜひお声かけいただけたらと思います。

藤澤啓子先生のコメント
保育の現場の先生方が、自分たちの実践を振り返り、これからどうしていきたいかを考えていくお手伝いができればと思っております。

事業の詳細および料金はこちらをご確認のうえ、依頼される方は、下記のwebフォームよりお申し込みください。
https://form.run/@cec-hoiku-survey
お申し込みにあたりご不明な点等ございましたら、フォーム内の自由記述欄にご記入ください。

本件のお問い合わせ先
エビデンス共創機構 保育の質調査事業担当
hoiku-survey@cec-c.or.jp

注1:評価手法は0~2歳児クラスと3歳児以上クラスで分け、それぞれ以下の書籍にもとづき調査を行います。
テルマ・ハームス, デビィ・クレア, リチャード・M・クリフォード, ノリーン・イェゼジアン著, 埋橋玲子訳(2018)『新・保育環境評価スケール②:0・ 1・ 2歳』, 法律文化社.
テルマ・ハームス, リチャード・M・クリフォード, デビィ・クレア著, 埋橋玲子訳(2016)『新・保育環境評価スケール①:3歳以上』, 法律文化社.

注2:研究成果は以下のwebページでまとめられています。
藤澤啓子, 深井太洋, Le Quang Chien, 中室牧子(2024)「保育の質がもたらす親と子への影響と質向上のための介入効果の検証」, 経済産業研究所ノンテクニカルサマリー, https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/24e058.html

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