一般社団法人エビデンス共創機構

2023年度学部生論文コンクール入賞論文の発表

2024年03月08日 ニュース

次世代のEBPM(Evidence-based Policy Making)人材の育成および政策研究の奨励を目的として創設しました学部生論文コンクールの2023年度の入賞論文が決定しましたので、下記の通り発表いたします。受賞者の皆様おめでとうございます。また、ご応募いただきました皆様、ありがとうございました。

最優秀賞
長澤茅子さん(京都大学)「Hidden Actions by Wives in Contraceptive Behavior: Evidence from Zambian Couples」要旨
講評:研究テーマの設定に関して目の付け所が大変良い。データ分析が丁寧かつ適切に行われており、公開されている二次データに加え、現地でインタビュー調査を行い、その結果を効果的に活用できている。政策的なインプリケーションが明瞭で、夫婦間の出生選好の違いと女性の自律性を考慮した説明に説得力がある。

優秀賞(五十音順)
五由出龍之介さん(慶應義塾大学)「NFLにおけるチームの勝敗が本拠地でのヘイトクライムに与える影響」要旨
講評:先行研究のアイデアを上手く他のデータに応用している。利用したデータがユニークであり、分析がしっかり行われている。政策的なインプリケーションが分かりやすく、問題の重要性や社会的意義の観点から高く評価することができる。

佐藤光祐さん(一橋大学)「災害の想定がその後の地域経済に与える影響」要旨
講評:想定内・外の浸水域に着目した点や夜間光データを利用している点が大変興味深い。データ分析が丁寧に行われており、論文も丁寧に書かれている。導出された政策的なインプリケーションは妥当であり、明瞭に書かれていることが評価できる。

廣瀬健仁さん(慶應義塾大学)「出生順位格差は育休により克服できるのか」要旨
講評:育休取得の内生性に対処しながら、出生順位格差への影響を検証した点が評価に値する。論文も丁寧に書けており、先行研究のレビューがしっかりしている。育休により母親が子育て時間を多く費やすことで出生順位による不利を克服しうるという結果は希望の持てるものであり、政策的なインプリケーションに富むものである。

佳作(入賞論文以外の優れた論文を記載します。筆頭著者の五十音順)
伊藤凪沙さん、安戸乃彩さん、泥谷結友さん(早稲田大学)「Does Health-Related ODA Help Improve Health Outcomes in Developing Countries?」(要旨

岸本健太郎さん、浜詩緒里さん、田村真澄さん(早稲田大学)「令和元年東日本台風の発生が消費活動に与えた影響の検証~差分の差分法を用いた準実験的アプローチ~」(要旨

藤本隆吾さん、高橋可欣さん(早稲田大学)「難民がもたらす利益が現地の難民受け入れ寛容度に与える影響:日本におけるオンライン無作為化比較実験」(要旨

コンクール実施概要
募集要項はこちらをご覧ください。

応募総数
26編
応募論文の基本情報を集計した資料はこちらをご覧ください。

審査過程
当機構事務局による事前審査を通過した各論文を、審査委員会にて(1)論文の問題意識および社会的意義、(2)学術的意義および新規性、(3)分析手法やデータの適切さ、(4)政策的インプリケーションの観点から審査し、協議のうえ入賞論文および佳作論文を決定。審査員による審査は論文の著者名や所属大学を伏せた状態で実施。審査員が直接指導した学生の論文は、当該審査員を審査から外したうえで審査を行った。

審査委員会(敬称略、五十音順)
黒川博文(関西学院大学経済学部准教授)
高橋遼(早稲田大学政治経済学術院准教授、当機構理事)
中室牧子(慶應義塾大学総合政策学部教授、当機構理事)

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